村に来た盗賊
 工場の門の前まで来ると、たくさん大人が、集まっていました。そして、なにやら大声で工場に向かって話していました。近づいてみると、それは村長さんと村の年寄りたちでした。リリはファラといっしょに、ゼクセル先生やカミュランたちを探しましたが、見つかりませんでした。

「人質を解放しなさい!」

村長さんの声が聞こえました。おじいさんやおばあさんたちは、まわりで、ザワザワ話しています。その中には、リリとゴゴの上の階に住んでいるおばあちゃんもいました。

「リリちゃーん!」

リリを見つけたおばあちゃんは大声で呼びました。リリはすぐに気づいて、おばあちゃんの方へ駆け寄りました。ファラもつられて、ついていきました。

「なにがあったの?」

リリが聞こえました。おばあちゃんは

「それが私たちにも、よくわからないんだよ。どうやら、盗賊たちが、やって来て、工場に立てこもっているらしんだよ・・・。ふー」

とため息をつきながら、答えました。リリは

「じゃあ、お父さんやお母さんたちは、盗賊たちに、つかまっているの?そうだ!!ゼクセル先生や友達のカミュランが先に来たんだけど、おばあちゃん、知らない?」

と聞きました。おばあちゃんは

「くわしい事はよくわからないんだけど、どうも工場で働いている大人たちは、みんな人質になっているみたいなんだよ。それから、子どもも少しいるって聞いているよ。普通は工場に、子どもはいないから、リリのお友だちかも知れないねー・・・。とにかく、ここは大人にまかせて家に帰りなさい。何も心配ないからね。お友だちも、そうしなさい。」

と言いました。リリはファラと顔を見合わせました。リリは

「でも・・・」

と言いかけましたが、

「とにかく、すぐに帰りなさい!!」

いつものやさしくてノンビリした口調とは打って変わったおばあちゃんのキビシイ口調に、リリは少しビクッとして小さな声で

「はい・・」

と答えました。周りにいた他の子たちも同じように、大人たちにさとされて、しぶしぶ帰ることになりした。

 リリとファラは取りあえず荷物を取りに教室へ帰ることにしました。二人とも不安で何か言うと良くないことが起こってしまうような気がして、しばらく黙って工場のへい伝いに歩いていました。とうとうファラがガマンできなくなったようすで、リリに言いました。

「お父さんたちやお母さん、それにカミュランたち、だいじょうぶかなぁ・・・。きっと、だいじょうぶだよね。」

 リリは、下を向いてだまって歩いていました。不安な気持ちはますます増してきて、涙が出そうになりました。ファラが

「ねぇ、リリー。リリったら。」

なんどか呼ぶと、やっと顔をあげました。ちょっと涙ぐんでいます。そして、

「ファラ、どうしたら良いんだろう。」

と消え入りそうな声でいいました。

その時です。リリの足もとで、パシッと小さな音がしました。見ると、丸まった紙が落ちています。リリは思わず拾ってみました。そして『あれ?何だろう?』と思いながら、丸まった紙を開けてみました。紙には、小さな字で手紙らしきものが書いてありました。

「リリへ、この手紙は大人に絶対見せないで!!

 ハリーとぼくは、今、盗賊みたいな人たちに、つかまってる。工場で働いているおとなたちやゼクセル先生もいっしょだ。一階の食堂にみんな集められているんだ。盗賊たちは10人いる。さっき、教室を出る前にリリに話した大通りで見た怪しいやつらだ。どれもとっても恐い顔をしているように初めは見えたんだけど、よーく見ると、お頭と呼ばれている男以外は、みんなヒョロヒョロしていて意外と弱っちそうなんだ。リリも覚えていると思うけど、あの弱っちい紙芝居屋もいるよ。

 盗賊たちは、大人に、爆弾をたくさん作るように要求してきた。大人たちは、相手が意外と弱そうなので、スキを見て取り押さえようとしたんだ。9人まで取り押さえたんだけど、ヒゲをはやしたお頭が、とてもずる賢くて、僕たち子どもに大きな剣を突きつけ、作らないとひどい目にあわすぞと、おどして、結局大人たちをさからえなくしちゃったんだ。僕たちさえ、来なければ、取り押さえられたと思うので、僕はとってもくやしい。やっぱり、ゼクセル先生の言うように教室で待っていれば良かった。

 だから、大人たちは、仕方なく爆弾を作り始めたところだ。爆弾というのは、花火みたいなもので、違うところはきれいな光のかわりに、物をこなごなにしてしまうものらしい。工場の玄関がたいそうこわされてるのと、食堂のゆかに穴が空いているけど、どうやら、盗賊たちが工場をおそいに来た時に、持っていた爆弾で爆発させたって言ってたのを聞いたよ。僕たちが、学校で聞いた、すごい大きな音は、この爆弾の音だったんだ。 こんな物を盗賊たちは何に使うんだろう?考えると、とても恐い。

 どうにかして、盗賊から逃げることができないかと、ハリーと話していたんだけれど、食堂に空いた穴をのぞきこんで気づいたんだ。どうやら、食堂の下は下水道が通っているらしく、かすかに水の流れる音が聞こえる。この穴を大きくできればなぁ。ここから、出られそうなのに・・・。

 ただ、大問題があるんだ。どうやら、町の人たちの中に盗賊たちの手先がいるみたいなんだ。 さっき、盗賊のお頭が、窓越しに何人かと話していた。だから、大人たちに、この事を言うとバレちゃうことがあるので、伝えないで。」

 リリとファラは、読み終わって、顔を見合わせました。

テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

【 2008/05/11 22:36 】

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