リリの宝物
 リリは、月曜日から土曜日の間、3時頃まで学校に通っていました。学校といっても小さな村なので、一クラスしかなくて、7才から16才の子供20人が一緒に勉強していました。

 この村の子供たちは、大きくなると、そのほとんどが薬師になります。ですから授業の内容は、材料の植物のことや、どこで手に入るかや、どうやって混ぜて薬にするかなど薬に関することばかりで、実を言うと、リリは少しばかり飽き飽きしていました。『難しい植物の名前を次から次へと覚えることに何の意味があるのかなぁ〜。そんなの覚えなくても、教科書を見ればいつでもわかるのに。』といつも思っていました。

 そういう訳で、今日もリリは、授業に退屈してしまい、海が見える窓際の席で、物思いにふけっていました。そして、去年のバザーで、お父さんに買ってもらったキラキラ光る細かいつぶの入った丸い消しゴムを手のひらでコロコロさせて遊んでいました。その消しゴムは、最初は、四角くかったのですが、授業中に少しずつこっそり削って、まん丸にしたのです。どこもデコボコが無くて、手のひらで転がすと、太陽の光が色々な方向に反射して、キラキラ光ります。

 リリは、その消しゴムを「キラ消し」とよんで、一番の宝物にしていました。そして、リリは『去年のバザーは、楽しかったなぁ〜。早く今年も来ないかな。』と、そのキラ消しをころがしながら、思いました。

「ふぁ〜」

キラ消しを転がしているうちに、リリは、思わずあくびをしてしまい、慌てて口を押さえました。でも厳しいゼクセル先生は見逃しませんでした。

「リリさん!」

黒板の方を向いていたゼクセル先生が、急に振り向き、厳しい声で言いました。

「今、私が言った薬草の名前を言ってください!!」

リリは、顔を真っ赤にして、立ち上がりました。キラ消しを転がしながらも、なんとなく先生の話は聞いてましたので、本当は答えられそうです。隣の席から、友達のカミュランが、こっそり教科書のページを指して、「ココだよ。」って、小声で教えてくれてます。でもリリは、ちゃんと聞いてなかったバツの悪さと、急にクラスのみんなに注目されてしまった気恥ずかしさで、声が出ず、ますます顔が真っ赤になって黙ってしまいました。

「リリさん。全く集中していませんね。バツとして、明日までに薬草の名前を100書いてくるように!」

と、先生は厳しく言いました。

テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

【 2008/05/01 00:05 】

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