家の守り神
「ただいま〜」

誰もいない家に二人は帰って来ました。

 家には、玄関を入ってすぐ左側に大きな丸い石が置いてある「よりどころ」と呼ばれる場所がありました。

 リリやゴゴの部屋より広くて、たてが5メートル、よこが3メートルほどもありました。実は、リリたちの村ではどの家もほぼ同じ間取りで、玄関の左側か右側に、同じような場所があり、同じように大きな丸い石を置いていました。その石のまわりには、お花や供え物が置いてあって、丸い石は家の守り神だと、リリたちは教えられていました。

 リリがまだ学校に行く前の小さかったころ、お隣には、変わったおじいさんが住んでました。そのおじいさんが生きている頃、おじいさんのお家の「よりどころ」て遊んでいて、守り神の石の真横にあった穴に落ちてしまい、大変しかられた覚えがあります。それからは、なんだか少しこわい感じがして、あまりそっちの方は見ないようにしていました。

 でもゴゴは、違いました。家に帰ってきた時、必ず1回はその場所に行って石より高く飛べるか試してみます。今日もゴゴは、「よりどころ」に行きましたが、リリはサッサと部屋に入って行きました。

 リリは、カバンを台所のテーブルに置くと、イスに腰かけて、フーッとため息をつきました。そして、

「あーあ、今日はついてなかったなぁ〜。先生には怒られたし、キラ消しは、なくしてしまうし・・・」

と、ひとりごとをつぶやきました。

その時、

「おねーちゃーん。おねーちゃーん」

ゴゴが呼ぶ声が聞こえました。

「たいへんだよー。」

リリは急いでゴゴのいる「よりどころ」のほうへ行きました。

「どう、したの?」

リリが、聞きました。

「キラ消しが、あったよ。」

ゴゴが指差して言いました。

「エッ、エッー!!」

リリは、びっくりして思わず声を上げました。キラ消しは、リリが作ったものなので、この世の中に一つしか無いはずです。しかも、先ほど坂の途中で、溝の中に落としてしまったので、こんな所にあるはずがありません。

 でも、キラ消しは、確かに丸い大きな石の横にちょこんと、ありました。

 実はその時、少し変わったことが、起こっていました。丸い大きな石のわきにある小さな穴のところで、かすかにゴトゴトという音がして、赤い小さな2つの明かりが光っていたのです。でも、リリもゴゴも、そのことに気づきませんでした。 ただ、リリは、きっと家の守り神さまが、かわいそうに思って、取ってきてくれたんだと思ってうれしくなりました。そして、ゴゴといっしょに

「ありがとうございます。」

と、丸い石に向かって、ペコリとあたまをさげました。

テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

【 2008/05/01 00:52 】

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