バザーの日
 毎年、10月になると、ティンクル村では、バザーが開かれます。昔は、村で作った薬を細々と売っているだけでしたが、最近では、他の町からたくさんのお店がやってきて、とってもにぎやかです。
 このバザーには、めずらしいお店が、たくさんでるので、村の子供たちは、みんな楽しみにしていました。リリとゴゴもそうでした。

 その日の朝になると、リリとゴゴのお母さんは、わざと、おつかいを二人にたのみます。

「リリ、ゴゴ。お使いをたのまれてくれるかい?」

お母さんが聞くと、

「はーい!」

と、二人は声をそろえて、元気良くこたえました。そして、

「なにを買ってくるの?」

すぐにゴゴが聞きました。

「去年と同じもの?」

リリも続けて聞きます。お母さんは、

「おやまあ、ふだんは二人ともお使いと聞くとコソコソかくれていなくなるのに、今日はとってもお利口さんだね〜。」

と、とてもおかしそうに言いました。お父さんもニコニコしながら聞いています。

「それじゃ、チーズを一斤買ってきてもらおうかしら」

と、お母さんが言うと、二人は

「はーい」

と、また元気良く答えました。そして、チーズ代のお銀貨5枚をお母さんからもらいました。

 ゴゴはお金をもらうと、すぐに家を飛び出しそうになりました。でも、まだリリは、じっとしています。ゴゴが、

「おねーちゃん、はやくー。」

と、玄関のところで、けげんそうな顔つきでリリの方を見て、叫んでいます。お父さんは、リリのそのようすを見て

「そうそう、大事なものを忘れるところだった。やくそくしてたからね。」

と、言って、おこづかいに銀貨を1枚づつくれました。
 それから、二人は

「お父さんありがとう。では、行ってきまーす」

と、はりきって家を出ました。家を出ると、ゴゴは

「おねーちゃん、良く覚えてたねー。頭(あったま)いいー。」

と、たいそう感心したようすで、リリの方を見ました。そして、

「ぼく、おこづかいのこと、すっかり忘れてた。それに銀貨なんて初めてだよ。」

と、言いました。そして、ゴゴはもらった銀貨を大事そうに両方の手のひらに、はさんで歩いていました。リリは、

「落っことさないように、ポケットの奥のほうに入れとこうよ。」

と、ゴゴに言って、自分もスカートのポケットにしまい込みました。ゴゴは、

「そうする。その通りにする。やっぱり、おねーちゃん、頭いいねー。」

と、言ってズボンのポケットに押し込みました。

 二人が、村の大通りまで来ると、たいそう、にぎやかになっていました。大通りと言っても、いつもは、雑貨屋さんや魚屋さんなどの小さなお店が、ほんの数軒のきをつらねるだけですが、今日は出店がたくさん出ていて、全く違ってました。

 南でとれためずらしい果物や、北のほうのミルクで作ったお菓子を始めとする、珍しくておいそうな食べ物。色あざやかな服やアクセサリー。そして、大道芸。中でも、何も無いはずの帽子からボールやハトを出したり、トランプの数字を見ずに当てるマジックに、リリとゴゴちは、目を丸くして見入っていました。

「リリッ、リリ」

突然うしろから、声をかけられて、リリは、ちょっとびっくりしました。振り返ってみると、同じクラスのカミュランでした。

「いっしょにまわらないかい?」

カミュランが言いました。リリが答えるより先にゴゴは、

「いっしょにまわろうよ。ね、お姉ちゃん、いいでしょ。」

といいました。ゴゴがもっているパチンコは、実はカミュランが、作ってくれたものです。だから、ゴゴはカミュランが大好きでした。リリも本当は、声をかけられて、うれしかったのですが、

「いいよ」

とそっけなく言ってしまいました。

テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

【 2008/05/02 23:28 】

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