宝はどこだよ。どこなんだよー
 むかし、むかし、あるところに、小さな村がありました。村人たちはとても働き者で、毎日朝から晩まで小さな畑をたがやし、いそいそと働いていました。

 その村の一軒一軒の家には、神さまがいました。神さまは、家の横にある穴の中に住んでいて、その家族があぶなくなったり、こまったことが起こると、いつも助けてくれました。

 ある日のこと、1人の若者が、

「ああ、今日は働きたく無いなぁ〜。誰か、代わりに畑をたがやしてくれないかなぁ〜。」

と、ひとりごとを言いました。そして、その日は畑に行きませんでした。翌日、若者は、朝早く起きて言いました。

「昨日は、悪いことをしたなぁ〜。仕事をさぼってしまった。今日から心を入れ替えて、また、ちゃんと働こう。」

そして、畑のほうに歩いていきました。若者は畑につくと、とてもおどろきました。畑が、たがやされています。若者は、『誰かが、たがやしてくれたみたいだ。お礼を言わなくちゃ。』と思いました。

 それから、若者は村の一軒一軒を訪ねて歩きました。でもどの家の者に聞いても知らないという答えばかりでした。若者は大変不思議に思いました。
 その日の夜、若者はまた、

「ヤッパリ、明日も仕事したくないなぁ〜。誰か代わりに種をまいてくれないかなぁ〜。」

と、またひとりごとを言いました。翌朝、若者が畑に行ってみると、今度は種がまかれています。そして、また村中に聞いてまわりましたが、誰も知らないということでした。となりの畑をたがやしていた人もなにも見ていないようすでした。若者は何が何だかわけがわからなくなってしまいました。若者はさんざん悩んだあげく、『もしかしたら、願い事を言うと、夜のうちに誰かがやってくれているのかもしれない。みんなで僕をかついでいるに違いない。』と思いました。そうして若者は、少し大きな声で

「明日は畑に水をやらなきゃ。でも明日もやりたくないぞー。誰かやってくれないかなぁ〜。」

と言いました。

 その日の夜のことです。若者はコッソリ畑に行ってみました。しばらくすると、なにやら水をまく音がし始めました。若者がものかげから見てみると、そこには、水をまいている神さまがいました。

 若者はビックリして聞きました。

「どうして神さまがやってくれているのですか?」

神さまは

「頼まれれば、なんでもやるよ。さあ、水まきは終わったよ。次は何をやれば良いのかい?」

と、言いました。

 次の日、神さまが何でもやってくれるというウワサは、またたく間に村中に広がりました。
最初は、こわごわ頼んでいましたが、神さまたちは何でもやってくれるので、村人たちは、そのうち誰も働かなくなってしまいました。

 ある日のこと、

「金貨100枚、持ってきてくれ。」

と、村で一番欲張りな男が言いました。
神さまは、その男の家のとなりにある穴にもぐって行きました。そして、次の日、金貨を100枚、持って戻って来ました。
次の日から村中たいへんな騒ぎになりました。

「私は真珠の首飾りが欲しいわ。」

だの

「ダイヤモンドをちりばめた服が欲しい。」

だの村人たちは次から次へと新しいお願いを神さまたちにします。神さまたちは大忙しで自分たちの穴にもぐっては、新しい物を持ってきました。

 実は、神さまたちの上には、さらにエライ神さまがいました。そんなようすをみていたエライ神さまは、たいそう怒ってしまいました。そして、

「なんて、だらしない村人たちだ。自分たちで働こうとしないばかりか、宝物まで欲しがるとは!!」

と言って、村人たちから宝物を取り上げると、神さまたちの穴にもフタをしてしまいました。村人たちは、やっと自分たちの間違いに気づきましたが、エライ神さまは許してくれませんでした。

 それから、その村人がどんなにお願いしても、神さまたちが助けてくれることはありませんでした。神さまたちはフタをされたまま、穴の中で宝物を抱いて、ひっそりと暮らしています。今でもどこかにこの村はあるということです。

オシマイ

 男が話し終わると、ゴゴは、

「わー、おもしろかったー。」

と言って、パチパチパチパチと元気良く手をたたきました。リリとカミュランも意外と話しがおもしろかったのでパチパチと手をたたきました。

「一軒一軒、神さまがいるなんて、僕たちの村にちょっと似ているね。でも、神さまの出入りする穴なんて聞いたことが無いし、穴をふさいでいるフタも見たことが無いので、ヤッパリ僕らの村とは、違うみたいだ。それに皆、働き者だし・・・。でも、そんな穴があったら、すぐにでも探検するのになぁ。」

と、カミュランは言いました。ゴゴも

「探検してみたい。してみたーい!!」

と言って、ピョンピョンはねました。でもリリだけは、うかない顔をしてました。そして、昔のことを思い出していました。
『そう言えば、小さい頃に、隣のおじいさんのうちで、穴に落ちたことがあるわ。普通のおうちには、あんな穴なんか無いのに、どうしてあのおじいさんのおうちには、穴があいてたんだろう?それに・・・、あの時、おじいさんは、とってもこわい顔をしていた・・・・・・。そもそも、あのおじいさんは、誰だったんだろう。片目で眼帯をしていた。その目でにらまれて、とっても恐かったなぁ。お父さんもお母さんもよく知らないみたいだった。たしか、リリが赤ちゃんの頃に、どこからかやって来て、この村に住み着いたって言ってたっけ・・・。』

 リリが、もの思いにふけっていると、紙芝居屋の男は、ふーッと一息ついて、3人に言いました。

「でも、意外とこの村のことかも知れませんよ。昔ばなしには、本当のことが混じっていることがよくあるんですよ。それに、あっしは、聞いたことがあります。村から村へ、神さまの穴をさがしている年とった男がいるってことを。その年寄りは片目で、何年か前、この近辺の町でみかけたって話しですよ。」

それを聞いたリリは、ガーンと衝撃をうけました。そして、『隣のおじいさんだ!!』と思いました。
カミュランは、

「そんなことがあるもんか。この村の人たちは、みんな働き者だぞ。第一、神さまの穴なんて無いし。でも、お話しはおもしろかったよ。ありがとう。」

と言いました。そしてカミュランが

「さあ、みんな、そろそろ行こうか。」

と言ったので、リリとゴゴもさよならを言って紙芝居屋さんをあとにしました。

 カミュランは、紙芝居を見たあとすぐに、用事があるからと言って、二人と別れました。リリとゴゴも、夕方になってきたので、おつかいのチーズを買って、家に帰りました。
 

テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

【 2008/05/05 22:27 】

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