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その日の朝は、少し雪がちらついてました。リリとゴゴの村ティンクルに冬がやってきたのです。いつものようにリリは学校に、お父さんとお母さんは工場へ行きました。 リリが授業を受けている時でした。急に、ドカーンという大きな音がしました。どうやら、学校の隣にある薬を作る工場からのようです。クラスの生徒たちは、ガヤガヤと騒ぎ始めました。ゼクセル先生も少しあわてて、
「皆さん、少し自習をしていてください。先生がようすを見てきますから。先生が戻って来るまで教室を離れないように。年長の者は、下の子の面倒をよく見ておくようにお願いします。」
と言って教室を出ていきました。 リリは、『工場の方から、おっきな音がしたなぁ。お父さんとお母さんたち、だいじょうぶかなぁ。』とちょっと心配になりました。そして、隣にいるカミュランに
「さっきの音、何だったのかな?だいじょうぶかなぁ?」
と聞きました。カミュランは、
「とりあえず、先生の言う通り待っていようよ。」
と言いました。リリが黙っていると、カミュランは、しばらく間をおいて
「そう言えば、今朝のことだけど、村の大通りを通ってきた時、あやしい人たちを見かけたんだ。」
と言いました。
「えっ、あやしい人たちって、どんなかんじだったの?何人くらい、いたの?」
と、リリは聞き返しました。カミュランは、
「10人くらいだったかなぁ。みんな目つきが鋭くて、コシに剣を刺していたよ。ボクがちらっとそっちの方を見ると、ギョロってにらまれたので、とてもこわかった。それと、一番えらそうにしている人は、長いヒゲをしていたよ。・・・そう言えば、一人だけ前に見たことある人もいたっけ。えーと、どこで見たのかなあ?・・・そうだ!!バザーの時だ。いっしょに見た紙芝居屋さんだ。それに、」
と少し興奮ぎみに言うのを打ち消すように、リリは言いました。
「へー、紙芝居をまたやりに来たのかなぁ・・・。それはそうと、先生ずいぶん遅くない?みんな、さわぎ始めているし。」
年長の子たちが、ようすを見に行ってみようと言い始めています。そして、一番年が上のハリーが言いました。
「クラスを代表して、今からようすを見に行ってくるから。」
それを聞いたカミュランは、急に立ち上がって、
「でもゼクセル先生は、待っていなさいと言いましたよ。言いつけを守った方が良いと思います。」
と言いました。ハリーは
「なんだこわいんだろ。良いよ、お子さまはお留守番してろよ。」
と少し薄笑いを浮かべながら言いました。カミュランは、少し顔を紅潮させて、言いました。
「こわくなんか無いよ。ただ、先生の指示を守るべきだと思っただけさ。なんだったら、ぼくが行ってもいいよ。」
リリは、『わー、カミュランがまた、上級生に反抗している。だいじょうぶかなぁ。』と思いました。そして、
「カミュラン、カミュランったら。やめた方が良いよ。」
とカミュランのそでを引っ張りながら、小声で言いました。でもカミュランは立ったまま、ハリーの方をジッーとにらみつけています。ハリーは、やれやれといったようすで、
「それじゃ、カミュランも、いっしょに来いよ。」
と言いました。カミュランは
「良いよ。いっしょに行くよ。」
と答えて、いっしょに教室を出て行きました。
しばらくしてもカミュランたちは帰ってきませんでした。リリはだんだん心配になってきました。後ろの席のファラがリリに話しかけてきました。ファラはリリと同い年の女の子で、よくいっしょに遊んでいます。
「ねぇ、ねぇ、リリー。カミュランたち帰ってこないねー。どうしちゃったのかしら。」
クラスのみんなもザワザワ騒ぎ始めました。そして、とうとう、みんなで行ってみようということになりました。 リリも、ファラといっしょにみんなについていきました。学校を出て、裏口の方から工場へ抜ける道をゾロゾロと歩いていきました。
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